谷 充展のブログ

ある時、不意に胸を衝く言葉たち。そういうものが、どこかに隠れている。そんな場所。

パリ、ベイルート、リアクション

*最初に断っておくけれども、今日の記事に誰かを非難するという意図は全くないです。

 

土曜日。雨のために審判割当が中止となる。

 

8時前に目が覚めてFacebookを見てみると、パリで起きたテロについての投稿や、欧州各紙のアカウントが続報を流すのがタイムラインを埋め尽くしていた。ツイッターを見ていると、ハッシュタグで#PrayforParisとか色々出ていた。何か、妙な違和感があった。ところで2日前くらいに、ベイルートでの同時多発テロのニュースをYahoo!ニュースで読んでいた。40人前後の犠牲者が出ていたように思う。その時は、SNSのタイムライン上で、このテロに関連する投稿を目にすることはまったくなかった。

 

そこに、今朝のパリでの事件。その妙な違和感は、初めは誰かを糾弾するようなスタンスを取っていた。「なんでパリだと、そうやってやれ連帯だの黒いリボンだのなんだの、やれ文明に対する攻撃だのなんだのと声を上げるくせに、ベイルートのテロに対してはそうならないんだよ」と言ったようなニュアンスである。しかしながら、即座にこのような他責的な自分の反応に対して、違和感を持った。ちょうど、6月にアメリカ連邦最高裁同性婚容認の判決を出した際にFacebookプロフィール画像をレインボー加工することに関して以前書いたのと、同じような感覚である。

 

taninho.hatenablog.com

 

もう少し考えていると、ほかならぬ自分自身が、ベイルートのテロとパリのテロに対して、異なる反応を示しているのが見えてくる。同時に、自分のSNSの友達やフォローしている人たちが、国外だとほとんどヨーロッパの国の人たちであることを、再認識した。彼らヨーロッパの人たちからすれば、同じ価値観を共有している(少なくともそう思われている)パリでテロが起こったとなると、他の地域での事件と比べて数倍も数十倍も自分ごとのように思われるだろうことは容易に想像できる。もし、自分のFacebookの友達の半分がアラブ圏の人々だったら、当然タイムラインで目にするパリでのテロに対するリアクションも、ずいぶん違ったものになっていたのだろう。

 

 最初に持った他責的な違和感というのは、ベイルートのテロとパリのテロとに対して自分自身が下す評価の違いにその矛先が向けられていたのだと思う。それはある意味で、国や文化圏に対する親密さの距離感の違いと言える。

 

プエルト・リコに対して少し特別な感情があるのはリッキー・マーティンの出身地だからであり、スウェーデンに対するスタンスと他の北欧の国に対するスタンスの違いは大学でスウェーデン語を学びスウェーデンに留学していたからであり、スペインと他のスペイン語圏の国に対する愛着の違いには何か理由があり、はたまた自分の大切な友人が過去に住んでいたりした国にはまた特別な感情を持っているのも、そういうことなのだと思う。

 

自分は、スペイン語を学び、スウェーデンに留学し、ヨーロッパの他の言語を学び、それらの言語を話す人々と友達になり、それらの言語で書かれたニュースを読み、そうやって日々過ごしている。ある意味で、ヨーロッパの国々で起こっていることは、自分自身に起きているのと同次元のものとして捉えている部分がある。一方、中東やアフリカでテロであったり紛争があったりしても、幼い頃からそういうのをニュースで見てきていて、近年でも政情不安だったりデモ隊の弾圧であったり独裁政治であったり、「そういう地域」というレッテルと張っているのだ。

 

パリで亡くなった人にも、ベイルートで犠牲になった人も、同じように家族がいて友人がいて恋人がいて信じている宗教があって、そうやって日常を過ごしていたことに変わりはないだろう。そしてそれは、世界中の人に取っても同じことが言えるだろう。そういうことを想像しながら物事を考えていくようにしていきたい、そう思った。

 

************

さて、その他日記的に。

 

お昼間はご飯を食べ、スペイン語のお勉強。いよいよ来週になりました、DELE。ドキドキですね。ライティング対策に、TEDのスペイン語での講演を聞いて内容の要約。スペイン語力の前に、要約力の低さを痛感。話の勘所は何なのか、どういう流れで要約を書くのか、そういう訓練が足らん。たぶん日本語でも苦手なんだろうな。

 

夕方からお出かけ。今日は四谷のイタリアンレストランで、オリーブオイルのセミナー。みっちり2時間のセミナー・テイスティングの後で、美味しいイタリア料理のコースをいただきましたよ。テーブルをご一緒させていただいた初めましての皆さんも素敵な方々で、楽しい時間を過ごせた夜でした。

 

帰ってきてワインを飲みながら、テロについて思ったことをブログに書いていたのだけれど、なかなか考えがまとまらず2時間以上もかかった。いろいろ考えが頭に浮かんでは消えるし、思いついたそばからそれに対して自己反駁が始まるので、簡潔に自分の考えを述べることが難しい。過不足なく文字にすることが殊のほか難しいですね。

 

一応、記事の体裁が取れたので、もうアップして寝よう。

 

今朝、Facebookに書いたこと。もう一度ここに記して、オシマイ。

"My sincere condolences for those suffered from attacks in BOTH PARIS AND BEIRUT in the last 2 days..."