谷 充展のブログ

ある時、不意に胸を衝く言葉たち。そういうものが、どこかに隠れている。そんな場所。

久しぶりの一人暮らし、社会問題、多様性その他

今日から1週間、妻と娘が義姉宅にお邪魔させていただくので久しぶりの一人暮らし。早速借りた本を読む。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 

ブレイディみかこ著、新潮社

 

通勤の地下鉄で広告を目にしていて、ちょうどその時に著者の別の書き物を読んでいたところだったので、ずっと興味があったもののそれっきりになっていた本。日本人の母とアイルランド人の父を持ちイギリスで生まれた中学生の息子の日常を綴ったものだ。人種差別の話やアイデンティティの問題、Citizenship Education(市民教育)、貧困と格差、教育にまつわる問題、多様性について、セクシュアリティと家族、エンパシーとシンパシーの違い、非常時におけるイギリス社会が持つ草の根の機動力の話、などのテーマが実際の日常生活のエピソードを通して綴られている。著者と息子の会話は子供の成熟の過程を描いているようで、10年後の自分に読ませたい内容だった。

 

一気に読み終えてからインターネットをブラウズしていると、台湾の「デジタル大臣」と呼ばれるオードリー・タンへのインタビュー記事を目にした。327日付のインタビュー。

https://note.com/blkswn_tokyo/n/ne3513163c79b

 

COVID-19で圧倒的な存在感を発揮した台湾のデジタルソリューションの中心的存在と言われる彼女の語る考え方やアプローチはいちいち合理的で「せやんな」「そら早いわ」ということばかりだったが、僕が最も興味を惹かれたのは、後半の、台湾のソーシャルセクターの強さの歴史的背景についての部分。そして最後に引用する詩がまた素晴らしい。これまで読んできた彼女の回答のベースにある哲学の一端を垣間見た気がしたし、何よりもクールだった。

 

そんなこんなで、気がつけば夜中の1時になるので、歯を磨いて寝ないといけない。普段布団を3枚敷いて川の字で寝ている6畳の和室に、今夜は1枚だけ。妙にガランとして寂しく感じるのは仕方がないけれど、そういう寂しさを感じることができるのも家族があるからであって、改めてありがたいなあと思う。